『神の分かれ道』(2023年12月12日 大嶋信之著)

(文・イラスト/大嶋信之)

一人の男が、一本の道を歩いていた。

すると道が二本に分かれる二股の分かれ道に出くわせた。

一方には『←愚者(ぐしゃ)』、一方には『賢者(けんじゃ)→』と書いてある。

男は迷った、どちらへ進むべきなのか、、。

私は『賢者』なのか、『愚者』なのか、、。

男は迷ったあげく『賢者』の方へ進んだ。

すると、また二股の分かれ道に出くわせた。

一方には『←強欲』、一方には『無欲→』と書いてある。

男はまた迷ってしまった。

私には欲はあるが強欲ほどでもない、だけど無欲と言われると嘘になる。

男は、なんとなく『無欲』の方へ進んだ。

男は歩きながら思った。
「私は『賢者』で『無欲』の男なのか?」と。

すると、また二股の分かれ道に出くわせた。

一方には『←名誉』、一方には『お金→』と書いてある。

あれ?、、男は戸惑った。

『無欲』の道を進んでいるのに、なぜ?と思ったのだ。

お金?名誉?どちらも要らないのが『無欲』な人のはずなのに、、。
でも、どちらを取るかと言えば『名誉』より『お金』かな、「背に腹は変えられぬ」からな。
と、男は『お金』の方に進むことにした。

男は歩きながら思った。
「私は『賢者』で『無欲』だが『お金』は欲しい男なのか。」と。

しばらく歩くと、二本の道の合流点に出くわせた。

そして、またしばらく歩くと、再び二本の道の合流点に出くわせた。

歩きつづけると、その先にもまた二本の道の合流点が見えてきた。

その合流点にさしかかる直前、あたりがきらびやかに眩ばゆく明るくなり、一人の天使が現れた。
そして、天使は男にこう告げた。

「ごめんなさい、少し試しただけなの。
あなたは、『賢者』で『無欲』なのに『お金』を選んだわね。」

男は驚きながら、うなずいた。

天使は続けて告げた。
「だけど、あなたは『賢者』でなくてもいいし、『無欲』でなくてもいい、『お金』が欲しいだけじゃなくたっていいの、
あなたはもとの一本道を進めばいいのよ。」
と。

男は、戸惑った。
「もとの一本道?」

「そう、この先、様々な分かれ道があなたを待ってるわ。でも、もともと一本道なの。だから最後は必ず同じ道に合流することになるわ。
だから、分かれ道(岐路)に出くわしたら、迷わず直感を信じて道を選んで欲しい。そして進み始めたら、立ち止まったり振りかえったりせず、自信をもって前だけ見て進みなさい。」

そう告げると、天使は消え、あたりも平常に戻った。
男はさっきまで迷っていた自分を少し恥じらいながら、天使の言うことを妙に納得してしまった。

男の前には長い一本道があった。

振り返ると、

男の後ろにも、長い一本道しかなかった。

おしまい。

あとがき

この話は、2023年12月12日朝、夢で見た内容をもとに作ったストーリー。
夢の中では、最初の『賢者』、『愚者』以外は正確に覚えてなくて、その他の行き先(看板の内容)は後から考えて付けた。
行き先(看板の内容)はともかく、人生っていろいろ判断しながら進んでいく、
しかし、どのように判断しても結局は同じ道に繋がる、要は運命って最初から決まっている。
結局のところ、人間の人生ってシュミレーションされていて、神様はそれを知っていて、その場その場で紆余曲折する人間の人生を見て感じ、楽しんでいるんじゃないかって思う夢だった。
だから、人生、何事も前を向いて楽しく進もう!


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